- C'ISM BE
- 9月15日
- 読了時間: 4分
更新日:11月19日

No. 16 Boudin (ブーダン)

マルシェや肉屋さんで、とぐろを巻いたソーセージが売られているのを見かけたことはありませんか。それはシャルキュトリ(肉加工食品)の一種、ブーダン(Boudin)と呼ばれるものです。
黒いものと白いものがあり、スーパーやマルシェなどで一年を通して買える食材ですが、クリスマス時期になるとトリュフやキノコやハーブが入った色とりどりの期間限定ブーダンが出回ります。
クリスマスマーケットにも専門のスタンドが立ち、量り売りでキロ15~20ユーロほど。筆者が買った時は、量がわからなかったので、「一人分」と注文すると約20cmの長さに切ってくれ、200gほどになりました。日本標準でいうと2人分くらいになるでしょうか。
【白=ブーダンブラン】

クリスマス時期限定のフレーバーが出回るのは、主にこのブーダンブランの方で、豚や鶏肉と脂肪、パン、ミルクなどで作られており、ブーダンノワールと比べるとあっさりしています。その食感は魚肉ソーセージにそっくり。一般的な食べ方はそのまま輪切りにしておつまみに。冷蔵庫で3~4日ほど保存できます。また、新しいレシピとしてソーセージ代わりにブーダンブランをフライパンで焼いた「ホットドック」も美味しいです。シュークルートとの相性も抜群。
クリスマス限定、「黒トリュフ」と「スペキュロス」ブーダン。スペキュロスは珍しい組み合わせですが、「アペリティフにぴったり」だとお店の人がおしえてくれました。

【黒=ブーダンノワール】

豚の血で作られています。と、ここで「ひえー」っと読む気を無くしたあなた、ちょっとお待ちを! ブーダンノワールは最も鉄分豊富な食材のひとつ。鉄分不足で疲れやすい方にはとてもお勧めなんです。レバーのようなクセがある味ではありますが、優良店では食べやすいブーダンノワールがみつかります。干しぶどうやコニャック、カルバドス(リンゴの蒸留酒)の入っているものは、香りがよくマイルドな味です。お店の方に相談して挑戦してみてください。
また、定番の「ある」付け合わせと共にいただくとグッと食べやすくなります。その「あるもの」とは「リンゴ」。リンゴの甘酸っぱさが意外とブーダンと合うんです。最後にレシピをご紹介しますので、ぜひお試しください。
【レシピ: ~ブーダンノワール・ピュレとリンゴ添え~】
【材料2人分】
ブーダンノワール2本
りんご中3個
じゃがいも (ピュレ用/ Bintje種*)200g
シブレット(あさつき)適量
バター10g
牛乳80CC


【作り方】
1. リンゴの付け合わせを作ります。 皮をむいて六つ割にし、5mmくらいの厚さに切ります。
2. きっちり蓋をして中火にかけ、煮立ちだしたら弱火にして30分ほど煮込みます。*きっちり蓋をしていれば焦げ付きませんが、水分が足りないようでしたら、少量の水を足して様子を見てください。
3. くずれる程度の柔らかさになったらできあがり
4. ジャガイモのピュレを作ります。 ジャガイモは皮付きのままたっぷりのお湯で塩ゆでします。
5. フォークがすっと通る硬さになったらお湯を切り皮をむき、熱いうちにすりつぶします。
6. 仕上げにバターとミルク、シブレットのみじん切りと塩少々を加えます。
7. ブーダンをフライパンで焼きます。テフロン加工のパンは予め熱さずにブーダンを入れてから火にかけます。油は引きません。
8. 熱したフライパンで急激にグリルすると薄い皮が破れてしまうので注意。
9. 弱火中火で10分~15分間焼けばできあがり。

*ジャガイモのピュレにはBintjeが最良ですが、手に入らなければ、“four” “purée”の表示のあるジャガイモを選びましょう。
*ジャガイモのピュレはスーパー出来合いのものでもOK! 意外とおいしい(主観です)
【おまけ*フランス語単語帳】
シャルキュトリcharcuterie 食肉加工品全般の総称またはその販売店
ブーダンノワールBoudin noir 黒ブーダン
ブーダンブランBoudin blanc 白ブーダン
シュークルート choucroute キャベツの酢漬け
ピュレpurée マッシュポテト。ジャガイモ以外の野菜にも使う
【Boudin 豆知識】
ブーダンノワールは保存食としての歴史が最も古いもののひとつです。ギリシャ時代にさかのぼると言われ、中世ではすでに一般的に食べられていました。一般的な材料の豚の血肉や脂、塩、砂糖のほかに、臓物、スパイス、ハーブ類、香料などが加わることもあります。
一方、ブーダンブランは、家禽の白い肉や脂、タマゴ、パン粉、牛乳で作られています。中世ではソーセージ状ではなく、それら材料をまぜたお粥のような料理が前身と言われています。その頃からクリスマスの時期に食べられることが多く、フランスの地方では今でも大晦日の定番メニューとなっているところもあります。
オリジナル記事:2018年12月17日作成




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