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ベルギー北海の野生アザラシ〈動画あり〉
近年、オランダにあるアザラシ幼稚園が日本でも話題になっていましたが、ベルギーにもアザラシ保護園があるのをご存知でしたか?ベルギー沿岸部、ブランケンベルへにある水族館「SEALIFE Blankenberge」にはアザラシの保護施設が併設されており、実際に訪れることができます。ブリュッセル中央駅から直行でき、所要時間は1時間半ほど。日帰りで潮風を感じるにはピッタリ。

世界中のシーライフ系列水族館には、それぞれ専門にしているいきものがいます。日本の名古屋にあるシーライフではウミガメですが、ブランケンベルへではアザラシの保護に力を入れています。
ハイイロアザラシとゼニガタアザラシが多く住む北海(North Sea)に面したベルギー沿岸部には、アザラシが流れ着くことが多くあります。その事情は様々ですが、親元から逸れてしまった子どもやけが・病気をして泳げなくなった個体がほとんど。けがの要因として特に多いのは魚網に絡まってしまうことですが、次に多いのが犬による噛み傷だそうです。ベルギー唯一のビーチがあるこのエリアでは、夏になると国内外からの観光客が急増します。同時にたくさんの犬が飼い主と共にビーチを訪れるわけですが、犬にリーシュ(首輪と綱)をつけておらず、飼い主が目を離した隙にアザラシが噛まれてしまうということもあるそうです。
そんな傷ついたアザラシを保護・治療するのが、シーライフ:ブランケンベルへのチーム。
1998年に設立されたこの保護園は、現在までで615匹のアザラシを保護してきています。保護園の運営およびアザラシの保護には莫大な資金が必要ですが、政府からの補助金ではなく一般募金や後述の里親制度によってまかなっています。
浜辺のアザラシ
ベルギー沿岸部では、稀に浜辺で寝転ぶアザラシを見ることができます。ほとんどの場合は昼寝をしているか、狩りに出ている母親の帰りを待つ子アザラシですが、もし明らかに傷ついたアザラシを見つけたら、20メートル程度の距離を保ちつつシーライフに連絡(0477/34.58.90.)してください。担当の飼育員さんたちが対応してくれます。アザラシもれっきとした動物ですので、不用意に近寄りすぎたり刺激することは避けてください。

里親制度
保護園とアザラシたちを支える重要なシステムのひとつが、「アザラシ里親制度(Seal Adoption)」です。里親といっても、アザラシをお家に連れて帰れるわけではもちろんありません。扶養に必要とされる一定額を支払い、命名権と入館フリーパスを得られるというものです。治療が完了したアザラシを海に返す「Seal Release Day」(後述)のイベントで、アザラシたちが入ったカゴの蓋を開けることができるという特典もあります。
治療とリハビリ
アザラシを治療したからといって、そのまま海に返せるわけではありません。保護されるアザラシの中には、魚の捕まえ方や食べ方すら知らない子どももいるからです。飼育員さんたちはまさに保護者のように、段階を踏んでアザラシをケアしていきます。
1、ホース・フィーディング
保護された時点で栄養失調になっている個体は珍しくありません。その場合は処置をする前に、ホースと漏斗を使ってペースト状にした魚を飲ませます。胃に直接流しこむことで体重を増やし、健康体に戻します。
2、補助付きで魚の丸呑み
基本的にアザラシは魚を咀嚼せず、丸のみします。しかし、子アザラシなどはその食べ方を知らないことも。
そのため飼育員さんが保護具を使い、口を押さえて喉に直接魚を入れていきます。この段階は、アザラシの喉を広げて飲み込み方を教える目的もあります。

3、治療・慣れ
体内に寄生虫がいるなどで投薬が必要な個体には、抗生物質などが入った魚を与え始めます。飼育員さんの補助なしでも魚が丸のみできるようになってきたら、次のステップへ。以下の動画では、魚を用意するキッチンを見せて頂きました。ちょっとだけアザラシも映ってます!
4、ひとりで食事
ここがもっとも重要なポイント。朝、飼育員さんが10匹程度の魚を部屋に置いていきます。夜になってそれがなくなっていればこの段階はクリア。魚の食べ方を覚えているか、自発的に食欲を満たすかをここで判断し、体重が25キログラムに達するまでは屋内の小部屋で生活させます。

5、屋外プール
25キログラムを超えて健康体となったアザラシは、屋外のプールに移動します。飼育員さんはプールに魚を投げ込み、アザラシたちはそれを自分で取りに行かなければなりません。ここでは魚を自分で獲得しなければならないため、狩猟本能をしっかり目覚めさせるための最後の試練です。体重が35キログラムに達すれば、晴れて自然に帰るリリースデイを迎えることになります。
リリースデイとは
リハビリを終えて自然に帰る準備ができたアザラシたちは、カゴに入って海岸まで運ばれます。そこで里親さんたちによって蓋が開けられ、海に帰っていく...という一連の旅立ちは感動モノ。なんとそのイベントは観覧自由です。
参加時はベストを着たボランティアの方に従い、あまり近づきすぎないように気をつけましょう。保護されたアザラシの回復状況によるため開催は完全不定期になりますが、おおよそ2週間ほど前から公表されるとのこと。雨天決行です。
海に向かっていくアザラシたちの様子はこちらの動画をご覧ください。
大変貴重な映像です!
今回の記事を作成するにあたって、SEALIFE Blankenberge・Seal Conservation Centerの全面的な協力をいただきました。特にラウラさんとマベリックさんに、心よりお礼申し上げます。

アザラシの里親になりませんか?
本プログラムでは、個人は500ユーロ、企業・団体は1,000ユーロで里親として参加することができます。寄付金はすべて、救助されたアザラシの保護および飼育に充てられます。
里親には、以下の特典が用意されています。
・アザラシに名前を付ける権利
・SEA LIFE Blankenberge の無料入館パス(1枚/同時に最大5名まで入館可能)
・アザラシを海へ戻す「リリースデー」への招待
リリースデー当日は、アザラシがケージから海へと戻る瞬間に立ち会い、その様子を間近で見守ることができます。
ご興味のある方は、SEA LIFE Blankenberge の「Seal Telephone」(0477 34 58 90英語・蘭語のみ)かベル通メールcontact.jp@bel2.jpまでお気軽にお問い合わせください。
今回訪れた場所
SEALIFE Blankenberge シーライフ ブランケンベルへ




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