ベルギー三大料理(スタッフ選)のひとつ、ムール・フリッツのご紹介です。ムール・フリッツとは、蒸しムール貝とフリッツ(フライドポテト)のセットのこと。レストランでは蒸しムール貝料理を注文するとフリッツが付合せとしてサーブされます。
ムール貝は初物が出ると各メディアでニュースになり、水揚げ時期が大幅に遅れるとちょっとした騒ぎにもなるという国民的メニューです。ベルギーに来たらぜひお試しを!
いつ食べる?
ベルギーでのムール貝の時期といえば、すなわちオランダ・ゼーランド産が水揚げされる7月中頃からイースターまでのこと。俗に英語でいう「“R”のつく月」がおいしいと言われますが、なかでも秋から冬が旬になります。例年より寒い春の年は水揚げが遅れ、逆に暖かいと早まる、というように多少、時期がずれることもあります。
レストランの多くは他産地のものを供していないため、ゼーランドからの入荷がない時期はムールは食べられないのが地元の常識。ですが、時期外でも落胆することはありません。観光地のレストランでは、アイルランド産や南方の地中海種ムールを輸入し、年中ムール貝が食べさせるところが多くあるのです。産地は違えど、美食の国ベルギー人シェフの手にかかれば立派な郷土料理に。ムール貝のベルギービール蒸しなどは地元ならではです。
ソース(風味)はさまざま
貝そのものは淡白な磯の味ですが、一緒に蒸すものによって様々な味が楽しめます。玉ねぎや西洋葱、セロリ香味野菜のみで蒸したナチュール(またはマリニエール)が基本形。そこに加えるものでバリエーションが広がります。以下は代表的なメニューの例です。
Moules MarinièreまたはNature (基本形 : 香味野菜のみ)
à la crème (クリーム)
au vin blanc (白ワイン)
à l'ail (にんにく)
à la Provençale(プロヴァンス風トマト味)
à la bière (ビール)
à la moutardière (マスタードとクリーム)
au curry (カレー味)
ベルギーではバケツ(のような専用蒸し器)でサーブされ一人前が1~1.5kg!一人分の量がかなり多いので、各人一品ずつ注文すると食べ飽きること確実。違う味や他の料理と組み合わせてシェアしてみては?
ベルギー的お作法は?
もともと庶民の食事であったムール・フリッツは気取らず手でいっちゃいましょう。空いた貝の殻をトングのように持ち、次の貝をつまんで食べるのがベルギー流。テーブルにはナイフやフォークがセットされていますが、これらはつけあわせのフリッツやバター用。スープを楽しむためのスプーンが用意されていることが多いです。殻は用意されたバケツに入れていきます。バケツに山盛りになったらホールスタッフが換えてくれるはず。
あとはベルギー人のようにお話しながらゆっくり時間をかけて食事を楽しむこと!
Bon appétit !
おまけ情報
情報1)オランダ・ゼーランド(Zeeland)では年間5700万トンの養殖ムールが水揚げされ、そのうち約60%をベルギーに出荷。ベルギー人のムール貝消費量はヨーロッパ随一とか。
情報2)天然ものは現在ほとんど流通していませんが、もし出くわしたら食す前に自身の体調と相談を。貝毒をもっている可能性があり、体力が落ちていると当たる危険性もあります。 |