実際の駅に、このような三角屋根はありませんが、この絵のように2階に三つの窓があって、赤レンガと薄いピンクまたは淡黄色のレンガが織り成す美しい平行線のコンビネーションが特徴です。駅前には、今でも画面上に描かれたような、二本に枝分かれした街灯があります。 寒い冬の夜,駅の裏では、町の家々の窓から明かりが漏れています。暖かい家の中ではお母さんたちが暖かいスープを作って家族の帰りを待っていたことでしょう。そして灯りがともったワーテルマールの駅には、帰りを急ぐ人達が出入りし、お父さんを迎えにきた女の子の姿もあったことでしょう。でも、その人達は現実の世界の住人ではないのです。広場の真ん中にある街灯は、放射線状に魔法の光りを放って、その光りの中で、背中を向けたコート姿の男や、古代ローマの女たち、それに現代風のワンピースを着た後ろ姿の女の子が現れました。夜の駅前広場は、デルボーの夢の世界の住人達が、地域と時代を超越して交差する場所だったのです。 |
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著者: 森 耕治 (もり こうじ) |