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NO.6 モーツァルト・フェスティバル
〜音楽祭の裏側 /演奏会編〜

ここヨーロッパの各地で行われている、小さな音楽フェスティバル。前回はその”音楽フェスティバルの裏側”の「準備編」を紹介しました。後半は「演奏会編」です。いよいよフェスティバル開幕です!

以前数年間、このフェスティバルの当日裏方スタッフのお手伝いをしていましたが、最初は下働きの下働き。そのうち下働きの「長」になってしまいました。全く当時の自分の仏語力でよくぞ乗切ったと思います。(今でも大差はありませんが。笑)

フェスティバル数日前から、音楽家が開催地であるワーテルローに集まってきます。フェスティバルには世界中で活躍している音楽家達です。皆さんそれぞれ芸術家オーラを持っていて、そんなオーラがどんどん集まってくると、いよいよスタッフ側の気合いも高まってくるのです。

日本人らしく裏方用のタイムスケジュールを作り気合いは満タン。しかしそれらを実際に行うのはベルギー人・・・絶対に時間通りには事が運びませんでした。ピアノが朝9時に搬入されると言われ会場となる教会に行ったものの、待てど暮らせどピアノは届けられず、人っこ一人いない教会で1人寒さに震えながら1時間待った事もあります。お城に着いてみたら鍵が閉まっていて入れず仕方ないので管理人さんが来るまで優雅なお城のベンチに腰をかけて待ち続けたり・・・日本では有り得ないような話が沢山あります。

しかし一方でスタッフの車が軽い事故に会い、荷物(販売CD、飲み物、チケット等)が遅れて到着した時は、なんとお客様達が一緒になって運んで下さりベルギー人の温かさを感じた一面も経験できました。

もちろん、そんな失敗談ばかりではなく、音楽家達のリハーサルを聴いたり、また世界中で活躍する人達のお話が聴けたり、とても貴重な機会でもあります。「芸は盗むもの」と日本語で言いますが、まさにその通りです。一日中音楽の中に浸る事で、沢山の事を学べた(学ばなくてはならない)と思っています。

義両親が芸術監督をしていた時代は、下準備から芸術監督のお仕事まで、殆ど全て義両親(特に義母のピアニストのダリア・ウジエル)がこなしていました。義母は本当にパワーのある人で、もちろんフェスティバル期間中は裏方スタッフがいますが、それでもその指示は殆ど義母が行っていましたし、その上フェスティバル中の演奏も完璧に仕上げていました。まさにスーパーウーマン!

昨年から夫(ダニエル・ルービンシュタイン)が芸術監督として主に取り仕切る事になったと同時にフェスティバルも少し変革があり、外から色んな方面で手伝って下さる方を呼ぶ事になりました。音楽家の無い知恵とない時間を振り絞っても出てくるのは限られているので、やはりそれぞれの分野に強い方々に助けて頂けるのは有り難い事です。逆に言えば、義両親はそれらを全部こなしていたのかと思うとよもや神業と思えます。

2011年はそのフェスティバルで初めて演奏者として参加しました。キャリアのある方々と一緒に演奏させて頂き、とても良い経験となりました。2012年9月末、第17回フェスティバル・モーツアルト開催予定です。今年はどんなフェスティバルになるのか、今から楽しみです。是非いらして下さい。



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神田望美 (かんだ のぞみ):ベルギーを中心に演奏活動を繰り広げているフルーティスト。 日本、西欧諸国、ノルウェー、チュニジアの音楽祭、コンサートにも出演し、各国の新聞にて好評を得る。 Estampes(フルート・ヴィオラ・ハープ)、東京ブリュッセルトリオ、フルートアンサンブル4tempiのメンバーとして活躍し、室内楽を主に多くの音楽家と活動する。故西沢幸彦氏の影響を強く受け、新境地の開拓を目指し、邦楽器、語り、日本の音楽をプログラムに取り入れるなどの試みをしている。ブリュッセル王立音楽院フルート科教職課程を修了し、ベルギー公立のアカデミーの代理講師、Dinant International summer academieにて指導。Atelier de Fluteを立ち上げ指導を行う。日本でもセミナーや吹奏楽部指導などを定期的に行っている。これまでに高橋あかね、植村泰一、西沢幸彦、マルク・グローウェルス氏に師事、ヴァンサン・リュカ、ヴァンサン・コルトブリントらのセミナーに参加。 フェリス女学院大学音楽学部、王立モンス音楽院卒。公式HPブログも絶賛更新中!


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