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No.2 アトリエ・マルセル・アスティールの歴史
アトリエ・マルセル・アスティールはEU議会所の近くにあり、現在105歳になるおじいさんが住んでいます。

マルセル・アスティールさんは2回の世界大戦を経験しており、第二次世界大戦の際には、ベルギーのレジスタンス運動の中心人物となり、多くのユダヤ人を救った事でも知られています。アトリエの 住所が、Rue du Commerce (商店通り)という名前から「逃げる事が出来たらマルセル商店へ行け」という暗号が、当時のユダヤ人収容所で囁かれていたそうです。当時から現在のアトリエに住んでいた彼の所にはナチスの尋問なども訪れたそうで、アトリエに立つと非常に歴史を感じる事が出来ます。


そんな彼は元々画家でエリザベト王妃も彼のレッスンを受けておられました。彼はベルギー人の有名ヴァイオリニスト、E.イザイの事も良く知っており、音楽愛好家でもあったので、そんな事から彼のアトリエで若い音楽家の為のコンサートを行っていました。

バルバラという有名なフランス・シャンソン歌手、ベルギーの代表歌手ともいえるジャック・ブレルも、まだ全く無名の頃にアトリエで初コンサートを行っています。そのうちにジャンルを問わず若い音楽家達が挙ってアトリエでデビューコンサートをするようになり、ヴァイオリンの巨匠グリューミオなど多くの有名な音楽家達がこのアトリエに来るようになりました。 そこで私の義両親も初めて出会ったようです。


その後アスティールさんもお年を取り、少しずつ活動が減少して行く中、このアトリエのある地域はオフィス街へと変化して行きました。そして都市計画の一部として、このアトリエを取り壊し、オフィスビルを建てるという計画が持ち上がりました。しかし史実的にも、芸術的にも歴史のあるアトリエを壊してはいけないと立ち上がった人々が、アトリエ・マルセル・アスティール財団を創立し、アスティールさんはブリュッセル区 (Ville de Bruxelles - Stad Brussel) の名誉市民となりました。現在はブリュッセル市(Région de Bruxelles-Capital / Brussels Hoofdstedelijk Gewest ) が買い上げる事で、この建物を保存して行く事が出来るようになったのです。

マルセル・アスティールさんは105歳という高齢のため、現在は地上階に住み込みのお手伝いの方達と住んでおられ、アトリエは貸しホールとして使われています。


お喋り笛吹きのベルギー見聞録ブログ編 ‐ 歴史の一ページの会で演奏‐


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神田望美 (かんだ のぞみ):ベルギーを中心に演奏活動を繰り広げているフルーティスト。 日本、西欧諸国、ノルウェー、チュニジアの音楽祭、コンサートにも出演し、各国の新聞にて好評を得る。 室内楽を主に多くの音楽家と活動する一方、フルートアンサンブル4Tempi のメンバーとして活躍。故西沢幸彦氏の影響を強く受け、新境地の開拓を目指し、邦楽器、語り、日本の音楽をプログラムに取り入れるなどの試みをしている。ブリュッセル王立音楽院フルート科教職課程を修了し、ベルギー公立のアカデミーの代理講師、Dinant International summer academieにて指導。Atelier de Fluteを立ち上げ指導を行う。日本でもセミナーや吹奏楽部指導などを定期的に行っている。これまでに高橋あかね、植村泰一、西沢幸彦、マルク・グローウェルス氏に師事、ヴァンサン・リュカ、ヴァンサン・コルトブリントらのセミナーに参加。 フェリス女学院大学音楽学部、王立モンス音楽院卒。公式HPブログも絶賛更新中!


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