第5回:「言い訳をする」 ~次に進むために~ |
あれもやろう、これもやろう、とやる気満々だったのに、数日たっても何もできていないことがありませんか?
私はよくあります(笑)。 自分で決めたのに、本当にやる気はあったのに、コーチと約束したのに・・・できてない! 「今日は絶対にこの部屋を片付けるぞ!」と思っていたのに、気づいたら1日が終わっていて、やろうと思っていたけどできなかったと、消化不良な感じが残ります。 なかなか行動に移せないときのとっておきの処方箋を紹介します。 それは「言い訳をする」ことです。 あなたが「やろうと思っているけどできていないこと」を思い浮かべてください。 片付けでも、掃除でも、レポート作成でも、旅行の計画でも、運動でも、帰国の準備でもなんでもいいです。 そしてできていない言い訳を書き出してみてください。 <言い訳> ・予定外の用事や仕事が入った。 ・他の用事が長引いた。 ・気が向かなかった。 ・やり始めたけど途中までしかできなかった。 ・体調が悪かった。 ・子供が熱を出した。 ・準備ができていなかった。 ・手伝ってくれる人がいなかった。 「言い訳名人」になって、もっと言い訳してみましょう。 ・話し合いが必要だった。 ・天気が悪かった。 ・暦が悪かった。 ・占いによると今日はこの作業はしないほうがいいみたい。 ・自分がやることじゃないと思った。 ・急な停電や断水、ネット環境不良があった。 ・やり方がわからなかった。 ・ここはベルギーだから。 ・約束していた人がすっぽかした。 ・人の返事待ちで動けなかった。 言い訳、出尽くしましたか?最後の言い訳チャンスですよ! ・言葉の壁にぶち当たった。 ・私にはこの作業は向いてない。 ・今、これをやらなくても大して影響はない。 ・必要な物品をどこで買えばいいかわからない。 ・お金がかかる。 ・1日でできることじゃない。 ・急にやる気がなくなった。 ・上司の機嫌が悪かった。 これ以上言い訳が出なくなったら、ずらりと並んだ言い訳を眺めてみましょう。 どんな気分ですか? どんな感じですか? 「よくもこれだけ!」「へ理屈ばっかり!」「そういう時もあるある!」「また同じこと言ってる!」などと思うかもしれません。 そして、まるで毒出しをしたみたいにスッキリした気持ちになりませんか? これ以上言い訳できないくらい言い訳しちゃいましたからね。 なんだかおかしくなって「ふっ」と笑えたら大成功です。 これは、以前、私がマイコーチとのセッションで体験した「変わり種」コーチングです。 「王道」コーチングでは、 ・できなかったのは何が原因だと思いますか? ・それをやることを恐れている自分がいたとしたら、何を恐れていると思いますか? ・やることとやらないことのそれぞれのメリットとデメリットは?・・・・ となりますが、「思い切り言い訳してください」には面くらいました。 多くの人は「言い訳することは悪いこと」という思い込みを持っていると思います。 また、私たちは「おもいっきり言い訳をする機会」はほとんどありません。 もちろん、毎日、毎回言い訳を並べてばかりでは、物事は進展せず、自分の変化や成長は望めませんが、なかなか行動できないことについては積極的にとことん言い訳をしてみると、新たな発見があることもあります。 予定外の用事が入ってできなかった・・・予定外の用事が入っても実行できるスケジュールを組みましょう。 気が向かなかった・・・気が向くようなしかけをしましょう。終わったらおいしいお酒を飲むぞ!とご褒美を決めるとか。 占い好きなら次に来る絶好調の日を実行デーにする!と決める。 あの人ならいいアイデアをくれそう! 手伝ってくれる人を探す! どうでしょう、言い訳を出しつくしてみるのも悪くないと思いませんか? 子どもは素直に言い訳をします。 「だって、今日は眠いからやりたくない」 「漢字の勉強嫌いだからやりたくない」 「○○ちゃんが叩いたから僕も叩いた」 ・・・ その言い訳(気持ち)を大人がきちんと受け止めてあげると、こどもは「でもここまでやってみる」 「今度は叩かないでって言うよ」など、自分で解決法を見出せることも多いです。 素直な子どもをお手本にして、大人の私たちも「行動にうつすための前向きな言い訳達人」を目指してみませんか。
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布施智美: 大学卒業後、教職を9年間務め、夫の海外赴任に付随しアメリカへ。 コーチングを学び「(一財)生涯学習開発財団 認定コーチ」を取得しコーチングセッションを継続中。アメリカ在住時に大学教授よりアドラー心理学を学ぶ。 帰国後、厚生労働省認定CDA(キャリアディペロップメントアドバイザー)資格を取得し、就活者や転職者へのキャリアカウンセリングを行う。人がよりよく生きるサポートをすることをライフワークとするベルギー在住主婦。 |