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第4回:「感情をコントロールする」 
~怒りに「反応」せずに「対処」するには~
私達は毎日、いろんな感情を持ちながら生活しています。
「感情とは、ものごとや人間等々に対して抱く気持ちのこと。喜び、悲しみ、怒り、諦め、驚き、嫌悪、恐怖などのことである」( Wikipedia「感情」より)

これらの感情の中でも、私がコントロールできたらいいなと思うものは怒りです。最近では「アンガーマネージメント」という言葉もよく見聞きするようになりました。この怒りの感情をどうコントロールしたらよいのか、コーチングとアドラー心理学の観点から考えてみました。

「怒り」とは、Wikipediaでは、人間の原初的な感情のひとつで、様々な要因・理由で起きるもので、例えば目的を達成できない時、身体を傷つけられた時、侮辱された時などに起きるものである」と書かれています。 日常生活では、ちょっとしたきっかけでイラッとしたりムカッとしたりするような、小さな怒りを感じることがありますね。

例をあげてみます。
クリーニングに出した服をお店に取りに行った時のことです。
水曜日の朝に出来上がると言われたので、水曜日の夕方に取りに行きました。
すると「まだできてないよ」と言われ、私が「水曜日の朝にできると言われたけど?」 と言うと、お店の人は「明日(木)の朝に来て。」 と言いました。
そして木曜日の朝に取りに行きました。
「まだできてないよ。夕方来て。」
私はここでイラッとし、 「本当に夕方には仕上がってるの?」と聞きました。
「もちろん!」という答え・・・。
結局金曜日の夕方に取りに行きました。
さすがに仕上がっていて「ありがとう」と言われました。
この時も謝罪の言葉はありませんでした。 そして『二度とこの店には持ってこないぞ』と思いました。 私は「約束した時間に仕上がっていないこと」に対してはもちろん、「店員さんがひとことも謝らないこと」がとても不愉快でした。

「反応」とはgoo辞書では「生体が刺激に応じて活動を起こすこと」とあります。

私に『約束した時間に仕上がっているのは当たり前』『お店の都合で遅れているのだから客に謝るのが当たり前』という思い込みもあり、何度も無駄足を踏まされたこと、それに対して何も謝罪がないことに、ほぼ自動的に不快な感情を持ったのです。

「反応」している状態では、自分のエネルギー(パワー)を消費します。たいていの場合は、自分が望んでいないエネルギーの消費のしかたです。無駄にエネルギーを消費せず、エネルギーを望ましい方向で使うには「反応」せずに「対処」を考えましょう。

Goo辞書では「対処」は「ある事柄・状況に合わせて適当な処置をとること」となっています。「不快な感情を持つ」という「反応」した私ですが、「この店は使わないと決める」という「対処」をしたことになります。 他にどんな「対処」ができたかを考えてみると、最初から言われた日時よりも後に取りに行く、仕上がりが遅れた理由を聞く、あらかじめ評判のよいお店を探しておいてそこに持って行く、などができました。

「対処」のポイントは「事実は何か」に注目することです。 あるいは「誰にとっての問題か」という視点で考えてみます。 この視点はアドラー心理学によるもので、「最終的にその問題の結果を引き受けるのは誰か」という視点です。 別の言い方をすると「事実を客観的にみる」ということになります。

この場合では「指定された時間に仕上がっていないこと」が事実です。 私を不快にさせるために仕上がりが遅れたわけではありません。 また、「お店の人から謝罪の言葉が欲しかった」けれど、それは先方に「悪い、申し訳ない」という気持ちがなければ「ないものねだり」で、私にはどうすることもできません。自分では解決できない問題や事柄に対して、無駄に感情を振り回されてはもったいない!

自分が持ったネガティブな感情に注目せず、それは脇においておき、すぐに「どう対処できるか」ということを考えるように訓練(チャレンジ!)するのです。

こどもや家族が相手だと「どうしてわかってくれないの!」という自己中心的な感情が先だってしまったり、お互いの甘えがあったりしてつい声を荒げたり、キツイ言い方をしてしまうことがありませんか?

またまた私の事例で恐縮ですが、ある朝のこと。
こどもが起きて洋服を着替えてきて「この服暑い!」と私に文句を言いました。私は、自分で選んだ服を着てるのに、どうして私が朝っぱらから文句を言われなくちゃいけないの!と、ついカッとなって(←反応して)「じゃあ、好きな服を着ればいいでしょ!朝から文句を言わないで!!」と怒鳴りました。怒鳴ったことで私のイライラモードはスイッチオン。怒鳴っている自分の言葉を自分の耳で聞いて(←リフレイン)、ますます怒りの感情に注目してしまいました。怒りがおさまらず、お弁当を作りながら不機嫌オーラを出しまくりでした。私は自ら悪循環を作り出してしまったのです。

では、どうすればよかったのか。
こどもの訴えに反応せず対処すればよかったのです。

客観的にみると「こどもが暑いと感じている」ことが事実なので、
1.「着替える?それとも窓を開けて涼しくする?」と聞く。
2.「家の中は暑いかもしれないけど、外は寒いからママはその服でちょうどいいと思うよ」と私(ママ)の意見を伝える。
※これは「Iメッセージ」と呼ばれ、「私」を主語にして自分の意見を相手が受け入れやすいように伝える言い方です。 押し付けや批判的なものを感じない言い方なので、聞く方も受け入れやすいという長所があります。
3.「あなたはどうしたいの?」と聞く。

こどもの発達に合わせていくつかの言い方が考えられますが、我が家の場合は3だったかもしれません。

コーチングでは「答えは相手が持っている」と考えるので、こどもがどうしたいのか引き出します。アドラー心理学でいえば、こどもが涼しい服に着替えて、学校で寒い思いをしてもそれは「子どもが引き受ける結果」であって、親の私が責任をとることではないのです。もし、それでこどもが風邪をひいてしまったら、子ども自身が体験することで衣服の調節をすることを学ぶでしょう。

こうやって冷静に考えると私が怒鳴らなければいけない理由はどこにもなかったし、いろいろな「対処」の仕方が浮かびますが、実際の生活場面ではなかなか・・・でも挑戦する価値はあります。

自分のエネルギーを無駄使いせず、感じなくてもよいネガティブな感情に振り回されることなく、円滑なコミュニケーションを作りだして、気分のよい毎日を過ごしたいですね!

コーチングクエスチョン:その怒りにどう「対処」しますか?


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布施智美:
大学卒業後、教職を9年間務め、夫の海外赴任に付随しアメリカへ。
コーチングを学び「(一財)生涯学習開発財団 認定コーチ」を取得しコーチングセッションを継続中。アメリカ在住時に大学教授よりアドラー心理学を学ぶ。 帰国後、厚生労働省認定CDA(キャリアディペロップメントアドバイザー)資格を取得し、就活者や転職者へのキャリアカウンセリングを行う。人がよりよく生きるサポートをすることをライフワークとするベルギー在住主婦。



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