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第3回:「未完了を完了する」 本当にやりたいことにエネルギーを注ぐために |
「未完了を完了する」・・・これはコーチング用語です。 未完了とは、やろうと思っていてまだやっていないことをいいます。 完了するとは、やろうと思っていたことをやり終えた状態をいいます。 私達は日々多くの未完了を抱えていて、私はこれは当たり前のことだと思っています。 でも未完了をたくさん抱えていると、知らず知らずに未完了にとらわれた状態(次の行動までに時間がかかったり、毎日が忙しく落ち着かない状態)になります。 では、何のために「未完了を完了させる」のでしょうか? それは、「本当にやりたいことを最大に楽しむため!」です。 例をあげてみます。 私は以前から見たかったDVDを見始めました。やっと見る時間ができてわくわくしながら見ています。ところがしばらくすると、頭の片隅に「あ~、晩御飯の下ごしらえ終わってないな」と浮かびます。見終わってからでいいかと思いなおしDVDを見続けます。すると「あ!あのメールに返信しなくちゃ」と浮かんできます。「しばらく雑巾がけしてないなあ」「この前の旅行の写真も整理してないな」・・・次々と浮かんで消える未完了化け物! これではDVDを心から楽しめていないですよね。 では未完了を完了させるにはどうすればいいのでしょうか? おすすめ① リストアップする。 オーソドックスな方法ですが効果大です。 1.まずは1つの付箋に1つだけ、気になっていること、やろうと思っているけどまだやっていないことを書き出します。人に見せるものではないので、どんなことでもOK。とっても小さなことから大きなことまで、思いつく限り書き出します。推定所要時間や期限も書いておくとわかりやすいです。 2.その付箋を並べ替えます。今すぐこの場でできるもの、15分あればできるもの、数時間かかるもの、時期が来たらできるもの、いつかできるもの、というようにかかる時間の短い順に上から並べます。期限のあるものなど、緊急度も考慮して並べてください。その順番通りに目に付くところ(パソコンでもキッチンの壁でもトイレでも)に貼り付けます。 ![]() 3.一番上の付箋に書いてあるものを今すぐやってみてください。今すぐが無理なら今日中にやってみてください。 4.やり終えたら「よくできました!」と自分で自分を褒めながら一番上の付箋をゴミ箱へ。 5.どんな気分ですか? 小さなことをやってみただけでも達成感がありませんか? もし気分がノッて、次の付箋に書いたこともやっちゃおうと思ったらどうぞ、どうぞ♪。 でも、1つ終わらせただけでも十分ですからがんばりすぎないように。 6.そして付箋のことは忘れましょう。付箋が目に入った時にできそうなことがあればやってみてください。後は3~6の繰り返しです。 メモやカレンダー、手帳に書き出してもいいですね。 その場合は完了したら横線でビ~っと消してください。 自分がよく見る物や場所にリストを作ることが重要です。書き出してみると、「やることがたくさんあると思ったけどこれだけか」と気づくことがあります。 書き出してみたけれどなかなか取り組めないことは、それをさらに分解して書き出してみましょう。 ![]() 分解してみると、まとまった時間が必要だと思っていたけど細切れ時間で少しずつ片づけられるかも!と感じるかもしれません。 ご主人でも奥さまでも子どもでも友達でもコーチでも、とにかく誰かに話してみることです。 「あれとあれとあれをやらなくちゃいけないのよね」と口に出してみましょう。 以前紹介した「オートクライン」が起こって自分がどれくらいの未完了を抱えているかが明確になります。自覚していなかった未完了がでてきてビックリするかもしれません。 おすすめ③ とにかく1つ、今やる! リストアップなんてメンドー、誰かに話すなんて恥ずかしい、そんな暇があるなら気になっていることを1つでも終わらせてやろう!という人におすすめです。 1つ終わらせたら「よくやった!」と自分を褒めてくださいね。 調子に乗ってもう一つ終わらせちゃったら素晴らしい!! さて、未完了を完了させるおすすめの方法を3つ紹介しましたが、「今はやる時間がない」、「できる環境じゃない」「気分が乗らない」・・・という時もありますね。そんな時はHELP!の声をあげましょう。もしかして自分でやらなくてもいいことを抱えているかもしれません。 家族や友達、それを得意とする人、専門家に委ねたり大部分を任せたりできることがあるかもしれません。“全部自分でやらなくちゃ”と思い込んでいただけかもしれません。 そして「今はやらない」「後でやる」と見切りをつけて、今はいったん完了の状態にしてしまうという手もあります。 未完了は大から小まで、毎日のように現れてきます。 未完了を全て完了させるのは難しいものです。 未完了を完了させつつ、自分が納得できる状態になったら、本当にやりたいことに最大のエネルギーを使ってください。その時間が充実し、至福のひとときになりますように!
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布施智美: 大学卒業後、教職を9年間務め、夫の海外赴任に付随しアメリカへ。 コーチングを学び「(一財)生涯学習開発財団 認定コーチ」を取得しコーチングセッションを継続中。アメリカ在住時に大学教授よりアドラー心理学を学ぶ。 帰国後、厚生労働省認定CDA(キャリアディペロップメントアドバイザー)資格を取得し、就活者や転職者へのキャリアカウンセリングを行う。人がよりよく生きるサポートをすることをライフワークとするベルギー在住主婦。 |