S:日本とベルギーの両方でパティシエとして活動されて、違いを感じたことはありますか?
Y:そうですね。パティシエに限ったことではありませんが、発想力はヨーロッパのほうが優れているかなと思います。食材の組み合わせとか。行動力があるので、準備もそこそこに「とりあえずやってみよう!」ってなりますね。 日本人は頭で組み立ててから取り掛かり慎重になりがちですから、そういった意識はとても勉強になりました。 逆に仕事の完璧度は日本人が上ですね。形の崩れや傷は許されませんでしたから。 |
S:それでは、ベルギー・ヨーロッパで求められるお菓子とはどういったものでしょうか? Y:日本的なお菓子をベルギーの人に食べてもらうと「水っぽい、あっさりしすぎている」と言われます。もともと味が濃いのが好きなんでしょうね。でも、美味しければ何でも受け入れてくれますよ。 伝統を守る人はとても頑なですが、異文化の食材を大胆に取り入れて受け入れる懐の深さはありますね。特に最近はヨーロッパの食材を使い果たして、アジアの食材がとても注目されているくらいです。 例えば、今は日本的触感がとても注目されているんですよ。「なめらか」という食感ですね。以前講習会でフランスの人が「なめらか」と日本語の単語をそのまま使われていてびっくりしました。そういった意味では、日本の繊細な味付けや食感と、ヨーロッパ風の味の組み合わせの両方を知っているのはとても大きな強みだと思います。 S:レストランとパティスリー、提供するお菓子の違いはあるのですか? Y:はい。レストランで提供するデザートは、コースのメニューと素材・味が重ならないように注意します。変な言い方ですが「お菓子」にならないようにするんですね。前菜からメインまでメニューを見て、デザートにも同様のインパクトがあるように気をつけていました。 レストランで働き始めた頃はシェフから作るデゼール(注:デザートのこと)を指示されていたのですが、だんだんと任されるようになって、最後は自分の好きに作って!と言われるようになりました。今まで作り溜めていたルセット(注:レシピのこと)を基にして、味にインパクトをプラスしたり、また素材の味を壊さない様に持ち味を引き出すなどの手直しをして、フレッシュ感のあるレストラン・デゼールに作り変えました。単なる足し算引き算ではないのが難しかったですね。 |
S:最後にベル通読者に、これは挑戦してもらいたい!というベルギーのお菓子を紹介してください。 Y:タルトシュークル(砂糖のタルト)、タルト・オゥ・リ(お米のタルト)、タルトフラン(プリンのようなタルト)はオススメです!タルト生地がサクサクしていないブリオッシュ系の生地なんです。ぜひトライしてもらいたいですね! |
今は次のステップのためにレシピを考えて溜めていく期間だというゆかりさん。ゆったりとした口調からは想像できないけれど、お菓子作りの現場では怒鳴ったり怒ったりと、ある方からは「女性の顔をしたオトコと言われたことがありました(笑)。」とのこと。 そんなオンとオフがはっきりした彼女、今後はお菓子と異ジャンルとのコラボレーション企画などにもチャレンジしたい!と、とても意欲的でした。 連絡先 メール: Yukariokashigasuki@gmail.com 携帯: 0473 79 31 76 *限定でお菓子の販売をする事があります。お問い合わせください。 *お菓子教室の様子はベル通スタッフブログのこちらから! *5月に販売された苺のケーキはベル通スタッフブログのこちらから! 小野島ゆかりさんの連載が始まりました! 「人ありき -心に残る“美味しさ”の裏側で」 作り手から”美味しさの秘密”をお届けしています。 是非ご覧ください。 |
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