ベル通 フェイスブック


広告受付中です。様々な種類をご用意しています!詳細はこちらから。
スタッフ募集中。楽しくベルギーを発見してみませんか?スタッフに関する詳細は「こちら」でご覧下さい。メールにてご連絡ください。



 

 





 

 N0.7  今井 礼欧さん                 【2012-6-4】
    
(欧和ビール オーナー/醸造者)

今回はベルギーで「欧和」ビールを醸造されている、今井礼欧さんにお話を伺いました。今年で6周年を迎える欧和ビール!今までの経緯やこれからのこと、たくさんお話をお聞きしました。(インタビュアー:神田望美)

* * * * * * * * * * * *

スタッフ(以下S): 「欧和」という名前の由来は何ですか?

今井礼欧氏(以下R): 欧は私の名前、礼欧(レオ)の「欧」から一文字取りました。そして「和」を意識して「欧和」としました。音的にも外国人に分かりやすいですし、OWAと三文字なのも良いと思いました。

S:何故ベルギーでビールを作ろうと思ったのですか?最初はイギリスで学ばれたと聞きました。

R:そうです。最初はイギリスで、醸造学と蒸留学を学んで、その後ビールといえばドイツだと思っていたのでドイツに行きました。ドイツには1000くらい醸造所があるのですが、その中でもホテルやレストランがあってお客さんがゆっくりビールを味わえる所があるのです。そういう所を20個程選んで、1ヶ月間ほど北から南まで就職活動して、最終的にレーゲンスブルグに決めました。そこで2年働きました。

S:そうなんですか。何が気に入ったのですか?

R:そうですね。ちょっと話がビールをまず作ろうと思いたった頃に戻ってしまうのですが良いですか?

S:もちろん。興味があります。

R:日本で最初に大手ビール会社の外食事業部にいました。しかしそこでお客さんに接しているうちに、自分で作った物を自分で売りたいという気持ちになり、会社を辞めて、醸造学を学ぼうと思いました。

S:いきなり外国でと思ったのですか?

R:醸造学を教授も揃って本格的に勉強出来るのは、世界でも四カ所(ドイツ2カ所・イギリス・アメリカ)だけなんです。その中でもウィスキーなどの蒸留酒を作る為の蒸溜学も学べるのはイギリスだけだったので。自分の作った物を、自分の目の前で飲んでくれる、そんな環境を作りたいと思ったんです。そこでドイツを選んだわけです。話が大分戻ってしまいましたが、それでどうしてベルギーに来たかということでしたよね。

S:そうですね。どうしてベルギーでビールを作る事になったのですか?

R:そのドイツでの経験はとても素晴らしくて、 働いている時は、とても良い経験だと思っていました。ただ1年程働いた頃から、そこにあるビールは既に存在していて、自分がそこで働いても働かなくてもそのビールは存在し続けるわけです。それで自分の存在価値みたいな物が見つけられなくなって、一生働く所ではないのかなと思うようになりました。

S:それで自分のビールを作りたくなった?

R: そうですね。その時はベルギーで何が出来るかなんて分からなかったのですが、 隣の国なのにフルーツビールなどがあって面白いかなと思いました。ドイツにはビール純粋令というのがあって麦芽100%のビールしか作れないのです。それでまた何か新しい発見が出来るのではないかと期待してベルギーに来ました。ただ初めの一年間は出来て2年程の経験の薄い小さい醸造所で働いてて、反って僕が教えてる感じになってしまって。週に2回しか働けなかったし、お給料も殆どなくて、何しに来たのか良く分からない状態になってしまいました。それで別の国に行こうかなとも思いました。

S:それは何年頃のお話ですか?

R:2005年〜2006年頃ですね。お金もないし、といってベルギーに来なきゃ良かったって言うのはとても嫌で。それでタンクが空いていたので、自分のお給料を稼ぐために、それをちょっと借りて自分でビールを作り始めたのです。だからベルギーには自分のビールを作りに来たというわけではないのです。

S:なるほど。。。それで起業したのですか?

R:起業したのは2007年ですね。最初(2006年)の頃は、会社のビールとして作っていました。会社に自分の給料分としてビールを提供していたような状態ですね(笑)。2007年に一回ブリュッセルに小さい醸造所を持ったのですが、段々生産出来る量が追いつかなくなってしまって、需要に供給が間に合わなくなりました。それで新しくリエージュに間借りしました。それでもまた生産出来る量が追いつかなくなって、去年からバンデンボッシュ醸造所にいます。

S:欧和ビールには陶器のカップがありますが、やはりこのビールにはこのカップでというこだわりはありますか?


R:とりあえず日本製の物を使いたいという物がありました。 味も変わりますね。 ただ私はビールの色も気に入っているので、グラスで提供する場合もあります。陶器だと表面がザラザラしているので綺麗な泡が立つんですよ。

S:味が変わるというのは、どういう風に変わるのですか?


R:陶器ですと雑味が消えますね。泡立てると苦みなどが泡に吸着するんですね。だからまろやかになる。グラスですとストレートになりますね。

S:なるほど。陶器の方がドッシリ来そうだけれど、実はまろやかなんですね。
ところで、欧和ビールは和食に合うビールと聞きましたが、ズバリ!それはどんな味なのですか?


R:和食というか・・・焼き鳥に合うというイメージで作りました。焼き鳥の香ばしい感じにあうように、焙煎した麦芽を使ってます。ベルギービールはアルコール率が高いのが多いのですが、食べながら飲み続けられるようなビールということで自己主張が強すぎないものをイメージしました。あと、和食はやはり繊細な味が多いので、糖分を減らして後味がスッキリするようにしています。糖分というと甘さと思いがちですが、粘度も上がってしまうので、苦みなども全部口の中に残るのです。


S:欧和からは色々な種類が出ていますが、今後も何か出される予定ですか?

R:本当は夏に向けて白ビールを作ってみようかなって思っていたのですが、今、桜と梅のランビックビールを作っていて、結構大変な作業ですので、こちらに専念しようかなと思っています。

S:柚子も作ってましたよね。どれ位漬け込むのですか?

R:柚子は3ヶ月。こちらは冬のクリスマス時期の出荷に合わせて。桜は半年間ですね。こちらは春の出荷に合わせて。梅も半年です。ベルギーにしかないランビックビールに、和を盛り込んで。ベルギーにいる日本人にしか出来ないビールを作ってみようかなと。

S:色々出来て楽しいですね。ちなみに普通の欧和ビールはどれ位で出来るのですか?

R:1ヶ月半ですね。

S:ベルギービールで、欧和以外で好きなビールは?

R:Orval (オルヴァル)やPrimus(プリムス)とかかな。でも自分がすごく好きになれるビールがなかったから、逆に自分で作ってみようって思った所もありますね。

S:それでは最後に今後の夢は?

R:そうですね。レストランを作りたいです。和食を広めるというか。もちろん良いレストランは沢山あり、そちらには私のビールを置かせて頂いているので、対抗するような物ではなくて、焼き鳥とかを軽く食べながらビールを飲めるという・・・まぁカフェみたいな感じですかね。他にも日本酒や、日本の地ビールを置いたり。

S:楽しそうですね!!そういえば、今度欧和六周年イベントをされるそうですが?

R:はい!6月17日(日)11時〜18時に、ブリュッセル市内のストッケル・ノートルダム教会の野外、大部屋をお借りして開催します。樽生の欧和と黒欧和の他、焼き鳥、焼きそば、カレーライスなど、屋台料理も、盛りだくさん!日本からラーメン店も招いて出店します。ベルギー人にも和食のB級グルメのおいしさも伝えてあげたいので、是非お誘い合わせの上いらしていただければと思っています!

S:今日は有難うございました!

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

【欧和ビール】
HP: http://www.owabeer.com/



 

<< 前のインタビューへ 次のインタビューへ >>


ホームへ | 「ベルギーのプロに聞く」一覧へ