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第1回: 社会人から駐在妻&専業主婦の立場になって |
![]() 連載1回目は、「あの時の私と似たような気持ちでベルギー生活を送っている方がいるかもしれない、そんな方に何かのヒントになるかな」と思って私の海外生活体験談をお伝えします。 ベルギー生活は私にとって2度目の海外生活です。 最初の海外生活はアメリカでした。 主人の転勤に伴い、9年続けた仕事を退職しアメリカへ。 専業主婦生活の始まりです。 始めの頃はアメリカでの生活に慣れるのに精いっぱいでしたが、行動範囲が広がっていくにつれ、次第に感じ始めた違和感(と言っていいのかな?)がありました。 当時は子どもがいなくて、自由時間は英語教室や友達とのビーズクラフトや編み物、おしゃべりなどで時を過ごしていました。 が、ビーズや毛糸を買うにも、お茶菓子を用意するにもお金がかかることに、だんだん精神的な負担を感じるようになりました。 自分で働いて得たお金ではなく、主人が働いて得たお金を自分のことに使う罪悪感。 金額の大小の問題ではなく、自分の中の何かモヤモヤとした小さなストレス。 その小さなストレスが積み重なり、「私って生きてるだけでお金使ってる。金食い虫だ!」と思うようになりました。 生きていればお金がかかるのは当たり前なのに、「専業主婦」という立場になり、自分が働いて得たお金ではないお金を使って生活することに「慣れて」いなかったのです。 少しでもこのモヤモヤ感を解消したいとやってみたことが2つありました。 1つ目は、家事報酬を得ること。 当時、主人は毎日お弁当を持って出勤していました。 ランチでも外食すれば10ドルくらいはかかります。そこで、「お弁当1個につき5ドルちょうだい」と主人に交渉(大げさ!笑)しました。 それで私の気が済むならと、主人もOKしてくれました。 そのお金を自分のお小遣いとして使うようにしたら、少しずつストレスが減っていったのです。 お弁当を作るという私の家事労働に対する「報酬」なので、私の自由に使っていい!という解放感がありました。だからと言って無駄使いするわけではないのですが、お金を使うときに罪悪感を感じずに済むのは心地いいものでした。 2つ目は、友人と一緒に晩御飯を作ること。 今、振り返ってみると「自分で収入を得ていないのに、自分のためにお金を使うことにストレスを感じている」ということ、「専業主婦なのに家事をせず遊んでいるという罪悪感」を持っていたことに気付けてよかったなと思います。 自分がどんなストレスを感じているのかがわかったからこそ、「じゃあどうする?」と対応策を考え、新しい行動を起こすことができました。 ここベルギーでもフランス語がわからないこと、おいしい日本食が手軽に食べられないこと、両親に子どもの世話をお願いできないこと、働けないこと、文化や慣習の違い・・・海外生活ならではの色々なストレスがあると思います。 予想していたこと、していなかったこと、生活してみて新たに生じるストレスetc・・・。 今、自分がストレスだと感じているのはどんなことか、言葉にしてみてはいかがでしょうか? そのことについて家族や友人とじっくり話してみてはいかがでしょうか? 人と話すことで「私、こんなことを考えてるんだ、感じているんだ」と、改めて気づくことがあります。 (自分の考えや意見や感情を口から発して耳で聞き、改めて言葉として認識、理解することをコーチング用語で「オートクライン」と言います。) そして、ストレスの正体がわかれば、解決の糸口が見えてくるかもしれません。 或いは、漠然と感じていたストレスにとらわれていただけ、ということに気づくかもしれません。 どちらにしろ、ストレスを受けている状態からストレスをコントロールする側に立ち、ベルギー生活がより快適になるといいですね。
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布施智美: 大学卒業後、教職を9年間務め、夫の海外赴任に付随しアメリカへ。 コーチングを学び「(一財)生涯学習開発財団 認定コーチ」を取得しコーチングセッションを継続中。アメリカ在住時に大学教授よりアドラー心理学を学ぶ。 帰国後、厚生労働省認定CDA(キャリアディペロップメントアドバイザー)資格を取得し、就活者や転職者へのキャリアカウンセリングを行う。人がよりよく生きるサポートをすることをライフワークとするベルギー在住主婦。 |