|  ベルギーでは、苺は5月から9月頃まで楽しめる「夏の果物」です。特に6月が一番甘く美味しいと言われています。 
 今回は「苺の名産地ウェピオン(Wépion)」を散策してきました。
 ウェピオンは、ワロン地方のナミュールに近いムーズ川沿いの町です。5月の精霊降臨祭頃になると、街道 (Chaussée de Dinant ) にオーベットと呼ばれる小屋が数軒建ち、摘みたての苺を売りだします。車が次々と吸い寄せられるように停車し、苺を求める人が絶えません。   
 街道沿いでは、他にも苺の町ならではのものが見つかりました。
 
 
  まずは、苺博物館。 
 郷土資料館も兼ねている小さな可愛らしい博物館で目についたのは、売店にある苺製品。リキュール、ペケ(ジンの一種)、シロップ、ジュース、ジャム、苺ビール、香水まで!添加物なしの地元産です。ラベルも手作りの素朴な品々が並びます。
 博物館から数百メートルの所にあるアイスクリーム専門店 ”Fleur de  Lait”では、苺ソルベと苺パフェを発見! 日本にあるようなパフェはベルギーでは珍しい。さらにパティスリー ”Johnny Lecire”では苺ケーキも。 お店めぐりは車でもいいのですが、天気が良ければ歩くのがおすすめ。ムーズ川に沿って散歩道が伸びていて、川景色を楽しむこともできます。対岸はベルギーで一番大きい島(中洲) Île de Dave、少し上流にはLe château de Dave も見えます。
 一方、苺畑は街道から離れた丘陵地に点在しています。
 
    
 1650年に森のイチゴ(fraises  des bois)と言われるものが群生していたという記録があり、19世紀にはすでに商業用のいちごを栽培していた伝統ある農地です。粘土質な上に小石が多く、本来なら農作物に向かないところですが、鉄分が豊富で塩分がない酸性の土が、おいしい苺を生み出す要因の一つとなりました。
 
 「ウェピオンのイチゴ」を名乗ることができるのは、ウェピオンと周辺の6つの村で採れた苺に限ります。Wépionと書かれている専用紙箱(ravier) がその証です。繊細な品質を保つため、たいていはビニールなどの包装はせず、むき出しで陳列されていますが、最近はつまみ食い防止のため、包装して出荷することもあるそうです。
 
 おいしさを保つには、冷蔵庫か冷暗所(7℃) で保存し、1時間前に出し、室温にして食べるのがベスト。香りと味を最大限に引き出せます。
 
 一口にウェピオンと言っても、時期によって採れる品種が違うので、その時々で味や形はさまざま。ぜひバリエーションを楽しんでくださいね。
 
 
 【お店情報】*営業日、営業時間は不規則な場合もありますので、事前にご確認ください。-苺博物館: Chaussée de Dinant 1037, 5100 Wépion  https://www.museedelafraise.com/
 -アイスクリーム専門店Fleur  de Lait :  Chaussée de Dinant 910,5100 Wépion   http://www.fleurdelait.be
 -パティスリーJohnny  Lecire : Chaussée de Dinant 1054,  5100 Wépion https://www.facebook.com/Lecire.Johnny
 参考資料 :Joëlle Janssens ; La vérité sur la fraise de Wépion取材協力 : 生産農家Luc  Warnez氏、La Criée de Wépion・Paul Gobiet氏
 
 
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