S:いろいろな国を回っていらっしゃるんですね。 ベルギーに住んでみて、印象はいかがですか? J:ベルギーはEUの中心地ということもあり、外国籍の方が多く住んでいます。ベルギー全土での人口比率では約10%、ブリュッセル市ではなんと約30%とも言われているため、現地の方々も外国人慣れしています。そのため、違和感なく生活できるところが今まで住んだ国と違うところです。 S:具体的に大使館の領事部とは、どんな業務をなさっているのでしょうか。 J:旅券、各種証明書、VISAの発給 が日常的な業務ですが、ホームページやメールマガジンを通じた情報提供や、盗難を含む事件・事故に遭った方々への援護も行っています。 S:「盗難を含む事件・事故」とは、具体的にどのようなケースがありますか? J:多いのはやはり「スリ」「置き引き」「空き巣」ですね。特にスリや置き引きは在留邦人だけでなく、旅行者の方にも注意していただきたい犯罪です。ちなみにベルギーは他の欧州の国と比べて治安が良いと思われがちですが、各犯罪の発生率を人口比で日本と比べると平均で10倍、多いものでは20倍以上なんていうものもあります。特に住居への侵入盗発生数は欧州の中でもトップクラスなんですよ。 S:そんなに!! では、具体的にどのような事例がありますか? J:例えば、ケチャップやアイスクリームなどの液体物をかける、電車の窓の外から話しかける等、被害者の気を引いている間に行っている置き引きとスリがほとんどですが、手口は日々巧妙化しています。他には、人気の少ない場所でのひったくりなどもありますので、昼夜問わず人通りの少ない場所や薄暗い場所には出歩かないようにしたほうがいいですね。被害に遭わないためには、手口を知り、うっかり気を取られたり、自分は大丈夫と思ったりしない事が大切です。 メールマガジンでは、実際の被害例を取りまとめ、手口や場所などを分析したものを記載しています。このほかに近隣国の渡航情報や領事部からの各種お知らせもございますので、ぜひご登録ください。また、当領事部の待合室やホームページでは、昔から現在までに行われている手口を取りまとめた「海外邦人事件簿」というものがありますので、こちらもご覧になってみてください。 S:事例がたくさんあって、手口をすべて覚えるのは大変そうですね。 J:では、少し考え方を変えて「ご自身が犯罪者の身になって考えてみる」というのも犯罪対策のひとつです。スリや置き引き犯は終始ターゲットを探し、照準を定め、最適な場所で犯行に移ります。試しに彼らと同じように、街で観光客風の方を見てみてください。そして バッグの置いている場所、貴重品が入っていそうな所、性別・年齢、子供づれ、といった条件から「この人からなら上手くものが取れそう」と想像できる人が居たとします。まさにそれが被害に遭いやすい状況であると認識してください。 S:なるほど。 J:もちろん、被害に遭わないことがベストですが、万が一被害に遭った時のことを考えて、「現金をたくさん持ち歩かない」とか「お金、パスポート、その他貴重品をまとめて持ち歩かない」というのも、被害を最小限に抑える対策のひとつですね。また、ご夫婦や同行者の財布をお一人が携行するのは、絶対に避けてください。 S:ちなみに、私の知り合いでは、車上荒らしや空き巣の被害に遭った方がいるのですが、その対策法は? J:車上荒らしの場合は「危ない場所に路上駐車しない」「車の外から見える所に荷物を置かない」という事が必須です。空き巣は、日本式の1階はもちろん入りやすいですし、2階でも場所によってはトラック等の大型車の屋根を使って窓から侵入するということもあります。彼らに狙われないためには可能であれば「空き巣が入りにくい3階以上の部屋を選ぶ」のも重要ですし、「金目のものをひとつの場所にまとめておかない」「旅行などで長期留守にする場合は、それを察知されないようにする」ということも大切です。ちなみに、ブリュッセルは人口千人当たりでの個人住宅への侵入犯罪数が欧州各国首都の中でも何本の指に入るほど被害の多い場所なんですよ。 当館では、在留邦人の方向けに「安全の手引き」というものを作成し、ホームページに掲載しています。 基本的な防犯対策も記載していますので、ご参考にしてください。 最後に、領事部から3点のお願いとお知らせです。 ① 当館が発行しておりますメールマガジンでは、犯罪事例のほかにうっかりミスを防ぐための情報提供を行っています。まだ登録されていない方は、是非会社と自宅の両アドレスでご登録ください。そして、家庭内では普段から事例の共有と対処方法について話合っていただくこともお勧めします。 ② よく在留邦人の方が利用される掲示板などで誤った情報や古い情報が記載されている場合がありますので、必ず照会したい事項を管轄する公共機関へ確認をするようにお願いします。各種手続きについて当館のホームページに一部記載されているものもありますが、ご不明な点はお電話にてお問い合わせください。 ③ ベルギーにおける生活上のトラブルや困っている事案に関し、必ずしもすべてが大使館領事部への連絡で解決するものではありませんが、過去の事例から多くの経験と知識を持っております。このような事案に対して領事部ではベルギーの関連法令に反しない適切なアドバイスをすることができる場合もありますので、ご遠慮なくご相談ください。 ④ハーグ条約についてのパンフレットは、こちらからご覧ください。 S:大変勉強になりました。早速我が家の安全対策も見直そうと思います。ありがとうございました。 【その他 トラブル回避のためのご注意】 ◆最近、ベルギーではIDの携行や不法就労に対する取り締まりも強化しているようですので、ご注意ください。 ◆ご旅行に行かれる際は必ず旅行先の国の渡航情報をご覧ください。各国の危険情報や重要なお知らせが掲載されています。 |
【在ベルギー日本大使館 領事部】 住所:Square de Meeûs 5-6, 1000 Bruxelles 電話:02/500.05.80 開館時間:9:30~12:00、13:30~16:00 休館日 大きな地図で見る |
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